黒くてこわい(バイトの話)

もうすぐ中国に行くので、予習として『中国農民調査』と言う本をよんでいるのですが、この本、わずか刊行二ヶ月で中国当局から発禁をくらったというすごい本です。急成長している中国の超ダークな現実が書かれてます。この本を読めば、中国の農村の裏側も、この発禁の裏側も、そして一昨日から新聞等で騒がれている、中国のHIV感染者支援活動団体に対する政府の圧力(活動グループに対する妨害、功績をあげた活動家の表彰式参加を阻むため自宅軟禁など)の実態も理解できると思う。
と、今日の本題はバイトの話です。私はバイトで写真をプリントしているわけなんですが、結構いろんな人がプリントしに来るのです。大半は、ディズニーランドとか、彼氏と温泉旅行とか、結婚式とか旅行とか、あとは趣味の写真とか、業務用とか。ほとんどはそんな普通の写真なんですけど、二日に一件くらいは変な写真を出しに来るお客さんがいるんです。
最近常連の前田さん(仮名)は典型的なコントの国の人*1で、毎日3〜4時ごろに訪れるのですが、いつも壁に貼った女児男児の写真を撮ったものや、児童が映ってるテレビ思いっきり近づいて撮ったもの、漫画の女の子を撮ったものをズームして「わいよんぎり!」と叫んで注文していきます。ちなみに「わいよんぎり!」とは「四つ切ワイド」という写真のサイズのことで、A4くらいの大きさです。最初「わいよんぎり!」とは何のことか私たちはわからず、理解するまでにかなり苦労しました。ちなみにそれらはデジカメで取った写真で、プリントには15分くらいかかるとお伝えするのですが、毎回5分たったら戻ってきて、写真がプリントされるまでカウンターの前で棒立ちしておられます。そして写真が出てくると出てきた写真を並べ、うなづいて帰っていきます。
また、こちらも常連で毎日仕事で撮った住宅の写真をプリントしにくる谷山さん(仮)と言う方がいらっしゃるのですが、彼は一件普通のサラリーマン。見た目感じ、冬彦さん*2に似ています。かれは毎回7時ごろに訪れ、業務用の12枚撮りのフィルムを2本出して行かれます。その内容は住宅街の写真、家の外観で仕事に使うと思われる写真なのですが、その中に毎回1枚、遠くから女子高生を盗み撮りした写真が混ざっているのです。自転車をこぐ女子高生、帰宅途中の女子高生など、だれも彼女たちをねらっている冬彦さんの存在に気づいている様子はありません。冬彦さんはいったい出来上がってきた写真を何に使用しているのか、考えるだけで恐ろしい・・・。
そのほかにも、普通の可愛らしい女の子が出しにきた写真が小悪魔やナースのコスプレだったり、フィルム一枚「俺撮り」(ドーナッツを食べる俺、上半身裸の俺、寝起きの俺、横顔の俺、等)だったり、世の中には私の知らないところで私の知らない思想をもった方々がいらっしゃるのだとつくづく思い知らされるのです。

*1:リリーフランキーの『美女と野獣』の中でコントよりもつくりっぽくて、ベタで突拍子のない行動をとる人として定義されている

*2:1992年にTBSで放送されたドラマ「ずっとあなたが好きだった」に出てくる、佐野四郎演じるマザコン夫の名